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セーラー服の女の子が「在宅介護」を通して学んだこと。大変な日々でありつつも、あたたかく優しい、親子三代の物語

麻木さん(娘)芙未さん(母)のエピソード


第二のお母さんのような存在だったおばあちゃんが要介護に。幼少期から思春期まで、15年にわたって続いた介護生活

幼少期、引っ込み思案な性格だったという麻木さん。学校から帰ると家で遊ぶことが多かったそう。一人っ子だったこともあり、毎日の遊び相手は、お母さんとおばあちゃん。元気で活動的なおばあちゃんは第二のお母さんのような存在だったそうです。

しかし、麻木さんが7歳の頃から、徐々に年齢による不調が出始めたおばあちゃん…最初は少し足が痛むなぁ、ということから始まり、気づけば要介護の生活に。そこから実に15年もの長い間、在宅での介護生活を送ることになりました。

毎日、介護に追われるお母さん、そして気づけば麻木さんも介護を手伝うようになり、中学生になる頃には、帰宅後セーラー服を脱いだら介護をするような生活を送っていたとのこと!そのため、青春真っ盛りの話で盛り上がる同世代の友達よりも、近所のおばちゃんたちの方が話が合ったと言います(笑)

おばあちゃんは母方の祖母、つまり、お母さんとおばあちゃんは実の親子。だからこそ、お互いに気を許せる一方で、イライラが募ることも多く、麻木さんはその板挟みになることもあったそうです。「それって思春期の女の子には、ものすごく重荷だったんじゃないですか!?」と聞いた私に、麻木さんは「私は八方美人だったから~(笑)」と笑っていましたが、おばあちゃんの話も、お母さんの話も、笑顔で聞いてあげること、それぞれの気持ちを理解して寄り添ってあげることで、二人ともどんなに救われたことでしょう。在宅介護という過酷な環境の中で、麻木さんのような柔らかいクッション剤の存在はとても大切なのかもしれませんね。



長い在宅介護生活の中で感じた、ひとつの「違和感」

長い在宅介護生活の中で、ひとつの違和感を覚えたという麻木さん。もともと、生き生きとしていてオシャレで活動的なおばあちゃんが、「要介護」になったとたん、急に周囲から年寄り扱いをされるようになり、身の回りのものも「介護用」のもので埋め尽くされるようになったのです。それまで、食器や洋服など、身の回りのものは何でも好きなものを自分で選び、オシャレで楽しい生活を送っていたにも関わらず、介護生活では、食器は幼児が使うようなプラスチックのもの、エプロンなど身の回りの物も、選択肢はぐっと減り・・・…そんな生活から、おばあちゃんは一気に気持ちが沈み込み、「こんなみじめな生活は人に見せたくない」と、家に閉じこもるようになってしまったそうです。

特におばあちゃんが使うのに抵抗があったのが、食事の際に使うエプロン。大きくて汚れにくい一方で、 とても目立ち、色柄の選択肢もごくわずか…それを付けるたびに、気持ちがしぼんで、せっかくの食事の時間もみじめで悲しい時間に…

そこで麻木さんは、おばあちゃんがお気に入りだったハンカチにクリップを付けて、即席エプロンを作ってあげたそう。おばあちゃんはとても喜んで、そのエプロンをずっと使っていたそうです。


「物はこんなにも、人の気持ちやプライドを、作ったり削ったりするものなのか」

そう感じたという麻木さん。そして、あらゆる物が溢れかえった現代ですらも、「要介護」になったとたん、一気に選択肢が狭まり、未だに介護の現場では、機能性とコストが優先されたようなプラスチック食器などの日用品が使われていることに課題感を感じたそうです。こんな介護の実情を変えたい、そんな想いで自ら開発したのが「nenlin」という介護の日用品ブランド。機能性だけでなく、良質なデザインと優れた機能を両立している「nenlin」の日用品のコンセプトは「生きる歓びを生み出すもの」。まさに、おばあちゃんの姿を長年見てきたからこそ、行きついた事業だと思います。

ザインと機能性を両立している「nenlin」の日用品

実体験から課題感を感じて、自ら事業化に踏み切るなんてすごい!!


『ディスカバーズ見守る』を通じた親子のつながり

現在、6歳の男の子を子育て中の麻木さん。仕事に育児に家事に…毎日の生活に忙殺されて、つい、ご両親への連絡は後回しになってしまうそうです。また、コロナ前までは月1回のペースで帰省していたものの、コロナが流行し始めてからの1年半、ご両親の体調を気遣って、1度も帰省していないとのこと。

そんな中、『ディスカバーズ見守る』がお役に立てているのかな?と思いきや…実はお母さんは上手くアカウント設定が出来ておらず、ずっと歩数カウントは「0歩」のままだそうです…それでも毎朝8時に「お母さんの昨日の歩数は0歩です」という通知が来る度に、「あぁ、まだ設定出来てないんだなぁ(笑)」とクスッと笑い、頻繁に「まだ設定出来てないの~?」「やり方分からないから、早く帰ってきて設定してよ」というやり取りをしているそうです。見守りアプリとして機能できていないことを、運営側としては申し訳なく思いつつも…「忙しい毎日の中で、1日1回、必ず親を思い出す機会がある、というのはすごくいいことだと思う!」と麻木さんは笑顔で話してくれました。

近々、ワクチン2回目の摂取が終わるので、久しぶりに実家に帰ろうと思う、という麻木さん。無事アカウント設定してくださることをお祈りしております!




芙未さん(母)

結婚するまでは七宝のデザイナーとして勤務していました。家庭に入ってからは、プライベートで自宅の窯で七宝を焼いたり、彫金を習って自分や友人たちのアクセサリーを作っていました。40代半ばで祖母(実母)が倒れ、50代は介護に追われる日々に・・・。介護が落ち着いた最近は、七宝づくりを再開。今は販売もしているそうです。料理とアート、刑事ドラマを愛する、太陽のような人です。


麻木さん(娘)

祖母の介護がきっかけで建築士を志しました。設計事務所勤務後に独立。独立後は特に母に子育てをサポートしてもらいながら仕事をしていました。現在は、全国の製造業を結ぶ、ケアのデザインストア「nenlin」を運営。お祝いなどの特別な時にも使える「ハレの日の福祉用具」など、介護のものづくりに新しい選択肢を作ろうと活動しています。







麻木さんの実体験が、「nenlin」という事業に繋がっていること、本当に素晴らしいと思いました。介護生活は、介護をする側はもちろん、介護をされる側も、気持ちが沈み込むような、長く辛い日々かと思います。そんな中、nenlinの日用品を使うことで、少しでも豊かな気持ちを取り戻し、日々の生活を通じて生きる歓びを感じることが出来たら…と思います。麻木さんが一生懸命取り組んでいる「nenlin」という事業、心から応援しています。

▼nenlinの詳細はこちらです。よろしければ是非覗いてみてください。

nenlin (https://online.nenlin.jp/)


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